こんばんは~ 3か月以上に渡った映画風ウェブCM「サラバ!見て回り手書きメンテナンス」エム・システム技研様)の制作が8月初旬に終了しました。撮影は大阪の緊急事態宣言が開けた直後の6月下旬に集中して行っています。7月いっぱいは編集でした。軽い準備は4月辺りからすでに始まっていたような気がしますが、本格的に準備に入ったのは6月に入ってからだったと思います。より良いものを着実に時間をかけて作っていくというスタンスは一貫していましたし、それが成果品に良い影響をもたらしたことは間違いありません。

主演は岡山幸樹さん。仲の良い友人役に古賀柚奈さん、主人公の上司役は佐波太郎さんにお願いしました。企業CMということもあり、配役に至るまでに実質3次のオーディション、その間に担当者との間で幾多の話し合いを重ねたうえでの選考でした。

脚本最終稿は16版目くらい

脚本は原案を基に構成から練り直し、脚本に移ってからも書き直しまくり、最終的には十数版に達しています。当初のアイデアである全編大阪弁で行うというのは最後まで変更なく、細かなニュアンスまで議題に上るほどのこだわりようでした。この点、「ローカル性」をモットーに掲げる大笑と通じるものがあります。

脚本最終稿が6月上旬ごろに終えて以降は、急ピッチで撮影準備に入りました。スケジューリングは困難を極めました。改めて思いますがよくぞ乗り越えたなという感じです。撮影は感染症対策を万全にして行うのは当然ですが、むしろ問題は撮影が始まる前までにあったと思います。撮影開始二週間前以降は何もないことを祈るばかりでした。関係者に陽性または濃厚接触者がでれば延期または人員変更を余儀なくされるからです。コロナ禍でただでさえ窮屈な撮影のタイミングが遅れれば予算にも影響します。一つでも予定変更があるとあとはずるずると行きかねませんね。映画撮影とあっては常にいかにリスクを最大限回避するかを考えるものですが、今回ほど厳しかったのはこれまでに例がありません。

映像化準備ツール作成にかけた時間は2,3週間、その間その他のタスクと併用だったので時間が十分にあったとは言えませんが、そこはわかりやすさを保障しなければ始まらないCMというジャンル。カメラワーク、カット割りともに基本的な映画技法を重用しています。歴代の映画作家たちに感謝してもしきれない感じです。

チームワークにはじまり終わる

本制作はクライアントと大笑との間でいくつかの役割分担を行っています。ロケーションや一部の衣装、小物を含む美術系は分野によっては制作に丸投げしないほうが安くつくものがあるのは間違いありません(例・ロケーションは自社ビルを使うなど)。撮影中の美術においても多大なお力添えを頂き、大笑の常駐クルーは3名のみでした(一日だけ撮影助手1名追加)。この3名は演出兼撮影、撮影照明補、そして音声の3名です。少人数での撮影はメリットが多いものの、段取りを間違えたり準備を怠ったりするとやはり作業が遅れ、映画のクオリティにも影響します。今回のクルーは以下のメンツです。

  • 演出兼撮影照明 松村
  • 撮影照明補兼助監督 松井
  • 音声兼アシスタント 向井
  • 撮影助手 池田

いずれも大笑映画の会参加者です。いずれのクルーも素晴らしい仕事をしたと思います。統率のとれたプロダクションであり、全員が自分の仕事を理解していました。ショット数は合計100弱ありましたが、3日間の撮影できっちり終了。いずれの日も遅延なく終わったというのは奇跡もありますが、俳優たちを含め、クルーみなの仕事の成果です。

撮影がうまくいくと編集も大体うまくいきます。映像化準備の際に想定していたカットを採用しなかったのは全編のなかで2カ所程度であり、あとはすべて計画通りにつながりました。演出の松村の前作「真夜中の配達アプリ」は、撮影があまりに悲しく、編集行程の一番目である組み立てだけで二か月近くかかっており、これを考えると今回の組み立てに要した日数はなんと4日であり、なんというかよくやったという感じです。編集のそれぞれの工程で用いたプラグインなどはまた今度機会があれば共有してもいいかなとは思います。例えば今回はカラコレにカラーチャートとカスタムのLUTを用いています。いずれも有料のプラグインを使いました。

VFXは全部で4,5日でした。実写映画ですのでVFXという言葉を使うのは多少おこがましい感じなのですが(映画「1917」と見たら絶望する)、合計で6,70カ所はVFXを使っています。わかりやすいのは公園のシーンのグリーンスクリーンです。工場オフィス内での撮影はワークフロー上必要ないのに残ってしまった(じかんがなかったので)ものを除いてはクロマキーは使っていません。選択はMocha AE、3Dカメラトラッカー、AEのトラッカーの三つを主に用い、あとはロトスコーピングで仕上げています。もう少し時間があれば曇り空を青空に変えたかったのですが、仕方ないですね。

当サービス名は「映画風ウェブCM制作」です。リンクからサービスページをご覧頂けます。本CMの完成に向けてかかわったすべての関係者、クライアント様に今一度感謝申し上げます。